会長訪問

企業としても個人としても継続を第一に考えて使命を全うする

旅先で英気を養う

会長の趣味を教えてください。

　旅行が好きで、夫婦であちこち出かけています。特にヨーロッパに行くと歴史を感じることができ、落ち着きますね。モーツァルトの生まれたオーストリア・ザルツブルグの音楽祭など、良い思い出です。コロナ禍の今はこうした旅ができず、残念です。
　また西表島の近くの小さな島には30年間毎年通っています。海のほかには何もない所で、魚がよく釣れるんですよ。泳いでいると海底に自分の影が見えたり、時にはマンタがジャンプしていたり、島では時間がゆっくり流れているように感じます。ただ、携帯電話の電波は入るので仕事を忘れるのは無理ですね。それでも、ゆったりした時間を過ごすのは大事なことだと思っています。

ご公務もお忙しくされているそうですね。

　石油を扱っている関係から危険物安全協会など、いろいろな会合や調整の仕事をさせていただいています。
　実は私は38歳の時に脳腫瘍を患い、手術を受けました。10時間近い手術の後、麻酔から目が覚めた時に、自分はまだ生きている、まだやることがあると実感したのです。それ以来、いろいろな団体の役員も頼まれれば引き受けるようにしています。

誠実さを大切に

モットーとされているのは何ですか。

　企業を背負っている経営者の使命とは、継続することです。企業には従業員の生活があり、取引先をはじめいろいろな関係の方がいますから、継続することが一番大事であり、そのために経営者としてやるべきことはたくさんあると思います。利潤の追求も必要ですが、それが会社の継続につながっているかどうか、いつも自分に問うています。
　継続することは業界の中においても大事ですし、個人としても、家や家族を守る責任があります。それに、人は生まれてきたからには何か使命があるはずです。人生を振り返った時に、それなりにやり遂げた気持ちになりたいと思っています。
　何か判断しなくてはいけないときなどは、海軍兵学校の「五省」を見ます。発言や行動に恥ずべきところはなかったか、目的を達成するために惜しみなく努力したか、面倒がったことはなかったかなど、自分を省みるものです。五省の中でも特に大切にしているのは「至誠に悖るなかりしか」。誠実さや人の道に背くところはなかったか、というものです。社会に対してだけでなく、自分に対して誠実であることが大切と思っています。
　ガソリンスタンドを中心に展開している当社の経営は、父から引き継いでもう34年になります。その間、石油会社の再編や震災があり、環境は大きく変わりました。今は経営の大部分を息子に任せていますが、脱炭素というテーマの中でどう運営していくかが今後の課題です。

では最後に、納税協会の会長としての課題と抱負をお願いします。

　神戸納税協会は、神戸市中央区がエリアです。会員の皆さんに提供できることは、税務署との橋渡しではないかと思います。税務署というと敬遠しがちかもしれませんが、困ったときには何でも親切に教えてくれます。それに税理士さんに何もかも任せてしまうのではなく、経営者も税金のことを知った上で、会社をどうするか自分で決めるようにすべきだと思います。特に会社の承継は経営者にとって避けられない問題なので、神戸納税協会では毎年税務署の担当の方に来ていただいて、勉強会を開いています。税金をきちんと計算して納めていくことは、会社を継続させていく一つの大きな道だと思います。
　例えば、赤字になると会社の評価が下がり、従業員の待遇などにも影響します。経営者の使命は会社の価値を上げることです。会社の価値が高まれば納税額も増えますが、計画どおりに納税し、利益を上げようと努力することが大切です。そのリズムが崩れないように、流れが良い方に回るよう、納税を一つのバロメーターとして励んでいくことができればと思います。
　こうした納税道義の高揚に努めながら、今後も尽力してまいります。

本日はありがとうございました。