理念に基づき社員を支え
世界へと発信していく企業を目指す

社員の全てを引き受ける

会長の趣味を教えてください。

無趣味ではありますが、旅行と乗り物が好きです。若い頃は、在来線の特急ダイヤを暗記するほどの鉄道少年でした。今も旅行プランを練るのは得意なんですよ。大学時代は馬術部で馬に熱中し、厩舎で暮らしていたといえるほどです。また、30代の頃はバイクによく乗り、毎年のように鈴鹿８耐（８時間耐久レース）の観戦に出かけていました。
現在も、乗り物には何でも乗ってみたい気持ちはありますが、趣味に没頭しづらいのが現状です。

今は仕事一筋でいらっしゃるのですね。

人のために休まず働くという家風のもとで育ったためかもしれません。それに会社を引き継いでからは、言葉で言い表すことのできない責任を感じてきました。何よりも社員に対して責任があり、生活から人生の充実まで、全てを引き受けなくてはなりませんから。会長に就任し、今後は社員を支える社長の仕事を盛り立てていきたいと思っています。
働いてくれる人たちが幸せになり、仕事を続けてくれ、会社が存続する。そして事業が世の中の役に立つ。これが会社の願いとするものです。
この願いに基づいて、井筒の４つの理念を打ち立てています。「感謝報恩」――受けた恩をお客さまに返していくこと、「美味救心」、「ほんまもん」――故事来歴に根付いた京都の本物を提供すること、そして「健康元気」。これらの理念がぶれないように、強い意志とエネルギーを傾けながら皆をリードし続けることができるよう、今後も力を尽くしていきたいと思っています。

伝統を重んじ世界に発信

会長の座右の銘を教えてください。

大事にしている言葉に「唯心所現（ゆいしんしょげん）」という禅の言葉があります。自分の地位や立場、心情など、今の状況は全て自分が招いた結果であるというものです。自分に縁のあった事柄がどういう結果になるかは、心の持ち方や関わり方で変わります。ですから、よい気持ちで接することが大切なのです。
もうひとつは「天は越えられない試練を与えない」。どんなに苦しいことが起きても、それは成長のためにあるもの。社員の幸せという願いがあれば、必ず道はあると考えています。

そうしたお気持ちから、八ッ橋の起源とされる八橋検校の法要を行うなど、伝統と感謝の念を尊重されているのですね。

経営者には、しっかりした理念・哲学が必要です。また京都には、尊敬する経営者が何人もおり、それぞれに哲学をお持ちです。そして京都の企業には、たとえ企業規模は小さくても世界にインパクトを与える仕事ができる可能性があります。京都にいるから、「八ッ橋」として世界に発信することができる。当社も、確固とした理念に基づいて、世界に発信していくことのできる会社だと思っています。

では最後に、納税協会の会長としての課題と抱負をお聞かせください。

私が納税協会の意義を感じるようになったのは、縁あって青年部で活動したときからです。東山は伝統産業やサービス業、文化的な機関など、じつに多様な業種が集まっています。青年部の一員としてさまざまな業種の経営者と活動する中で、ともに悩みを分かち、励まし合い、時には息抜きをしたりしながら、交流の場を持つことができました。これは素晴らしいことです。ですから、青年部が持つバイタリティを納税協会の本体にも反映させることはできないかと思っています。青年部の力を活かすことで、自然に協会の活性化を図ることもできるのではないでしょうか。
納税協会は、経営者の交流の場であると同時に、元気な経営者が生まれる下地でもあります。利益を上げてきちんと税金を納め、もっと業績を伸ばしていこうという前向きで元気な経営者が次々に生まれるように、お役に立ちたいと思っています。

本日はありがとうございました。