感謝の気持ちを忘れずに
人との触れ合いを大事にしていきたい

香梅堂
設立	明治元年
従業員数	約23名
営業品目	鈴焼、熊野名所せんべい、味噌せんべい、小豆せんべい、巻せんべい、どらやきなどの製造・販売
拠点	和歌山県新宮市

何事にもとことん力を注ぐ

会長の趣味を教えてください。

ずっと仕事一筋でやってきたので、40代になって始めたボウリングとゴルフが、唯一の趣味といえるものかもしれません。
ボウリングは、たまたま友人と一緒にボウリング場に立ち寄ってみたのが始まりです。最初のゲームのスコアは48でした。悔しさから発奮し、仕事が終わった後、時間があればボウリング場に通うようになりましたね。やり始めると、とことんやってしまう性格なので、それが趣味になってしまいました。最高スコアは２４０くらいまで記録したこともあります。
ゴルフは仕事の時間との兼ね合いもあり、なかなかできませんが、ショートコースを回ったりして楽しみました。
今は、手のあいたときに野菜を少しつくっています。大根やタマネギなどを収穫しています。

野菜づくりのどのようなところに魅力を感じますか。

やはり収穫の喜びですね。目に見えて成長していくのが嬉しいですし、自分でつくった野菜のおいしさは格別です。それに畑仕事に熱中していると、日常のいろいろなことを忘れて気持ちの切り替えができます。
ただ、今は公務が多く、なかなか時間がとれないのが残念です。「畑は人の足音で育つ」と言われるくらい、こまめに通わないと作物はうまく成長しませんからね。いずれはもっとじっくり畑仕事ができればと思っています。

原点を忘れずにニーズに対応

会長の座右の銘は何ですか。

「日々感謝」、この一言に尽きると思います。やはり商いをしていると、感謝の気持ちが第一ですから。
香梅堂は今も手造りの味を大事にしていますが、昔は１枚１枚手焼きでせんべいをつくっていました。そのため製造できる量にも限りがあり、売り切れてしまうこともありました。
私が店に入って間もない頃、品切れのため、せっかく遠くから来てくださったお客さまをお断りしなくてはならなかったことがあります。夏の暑い日のことで、わざわざご来店くださったお客さまに感謝するとともに、お断りするのがとても心苦しく、それが今も忘れられません。後ろ姿を見送りながら、これは何とかしなくてはいけないと思ったのです。そのときの思いが、今の香梅堂の原点になっています。
その後、時代の移り変わりもあり、機械化を導入して今のような製造販売の形にしてまいりました。ただし、販路を拡大して目が届かなくなることがないように、支店をつくったり他の店に委託したりはせず、自分の店舗だけで販売する方針は守っています。

そのようにして味を守ってこられたのですね。

やはり、まず味が大事です。味を中心に考え、その時代のお客さまのニーズに合わせていくことが大切ですね。
香梅堂の主力商品になっている鈴焼は、もともとせんべいだけをつくっていたところ、若い人だけでなく老若男女に好まれる商品をと、試行錯誤しながら開発したものです。原材料にこだわってつくり、熊野速玉大社の鈴にもちなんでいるため、おかげさまで大変な人気をいただいています。鈴焼のパッケージはお客さまから教えていただいたものですし、いつもお客さまに支えられているから、すたれることがないのだと思います。
また、利を貪るとよいものができないし、お客さまも遠ざかってしまいます。ですから、利益追求型よりも、まず原材料を吟味した美味追求型を忘れないようにしています。そして香梅堂にしかない味を次の世代に伝え、ニーズに応えるものをつくり続けられるよう、引き継いでいきたいと思っています。

では最後に、納税協会会長としての課題と抱負をお聞かせください。

新宮市とその周辺は、木材の町として栄えてきたエリアですが、企業の合理化や人口の減少などもあり、会員拡大が今後の大きな課題となっています。そうした中で、人との触れ合いを大事にしながら、地域に貢献していきたいと思っています。
皆様に支えられて、会長としての２年目を迎えます。これからも力を尽くしていきますので、よろしくお願いします。

本日はありがとうございました。