ラグビーで学んだ「意気こそ力」の精神
組織として成長できる決断を目指す

ラグビーを通して輪が広がる

休日はどのように過ごされているのですか。

私どもの会社では図工・美術、算数・数学、情報の教科書のほか、小学校・中学校の社会科の教科書づくりにも力を入れています。そういう関係もあって、歴史の本をよく読みます。明治維新以降から現代にいたるまでの近現代史について、価値観がまだ定まっていない部分は、本当はどうなのだろうという思いがありますから。いろいろな立場で書かれている書物を読みながら、子どもたちにどう伝えていくべきかを考えますね。
息子が学生の頃は、毎週のように息子のアメリカンフットボールの試合を夫婦で応援しに行っていました。チームメートの父母も一致団結して応援し、試合の後は一緒に飲みに行き、父母どうしのつながりも広がりました。私自身も中学生の時から大学時代までラグビーをやっていたので、自分の青春とも重ね合わせていたのでしょうね。
ラグビーのつながりは広く、仕事以外の付き合いは７割程度がラグビー関係です。高校大学それぞれのチームメートはもちろん、ＯＢもいますし、仕事で知り合った方がたまたまラグビーをやっていて、意気投合して飲みに行くということもありますね。
お酒はほぼ毎日飲みます。仕事の付き合いがないときも、家で夫婦で飲むんですよ。ほっとするひとときです。

ラグビーをされていた方とは、結びつきも強いのですね。

ラグビーにはスポーツマンシップと人生の哲学のようなものがあり、ラグビーをやってきた者にとっては、それが精神的な支えになっているのではないでしょうか。皆それぞれ学校は違っても、厳しい練習をし、青春を捧げ、同じような経験をしています。ラグビーをしていたというだけで、お互いに相通じるものがありますね。
また、チームで闘っていても究極は１対１の勝負ですし、ときには猛牛のような相手と相対さなくてはなりません。そういうときにメゲそうになった自分を勇気づけ奮い立たせることも学びましたし、逆に興奮しすぎてもいけないので感情をコントロールする術も学びました。こうした経験は、その後もとても役に立っています。

捨て身で活路を開く

会長の座右の銘を教えてください。

大学時代のラグビーの監督がいつも口にしていた言葉、「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」です。
私は身体がそれほど強くも大きくもありませんでしたが、それでも屈強な相手の突撃を阻まなくてはなりません。そんなとき、及び腰で相手を止めようとするのではなく、捨て身で相手の膝に向かって飛び込めと教えられました。そうすれば必ず活路は開けると。捨て身の覚悟ができたら、「もう一歩」前に出ることができるようになり、不思議と強い相手が来てもタックルできるようになりました。
仕事の場合も、どっちつかずで悶々としているとうまくいきません。邪心を捨てて、前向きに考えると、物事の本質に近づけるし、可能性が広がると常々考えています。
経営者として決断する際には、もちろん成功に結び付かなくてはなりませんが、同時に組織として成長できる決断でなくてはなりません。それが次の闘いに臨む肥やしになりますから。社員にはいつも、とにかく精一杯努力しようと言っています。「努力したからといって、成功するかどうかは保証できない。けれども、あなたが成長することは絶対に保証する」と。

では最後に、納税協会の会長としての課題と抱負をお願いします。

納税は国力の根本です。その重要性を広く伝えるための活動をしていかなくてはと思っています。国民の一人ひとりが納税意識をモラルとして持つことが大事ですし、我々納税協会は、その意識付けを行っていかなくてはなりません。子どもたちの納税教育も大事ですし、たとえば税務署の方から直接親しくお話を聞けば、税金を収める意識も違ってくると思います。税務署の方々もいろいろな機会を設けてくださっています。我々も会員の皆様の期待に応えられるよう、一生懸命活動してまいります。

本日はありがとうございました。