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新着情報

「着任インタビュー」を掲載しました。

2023.09.07

大阪国税局長 堀内
【堀内 斉(ほりうち ただし)氏の略歴】
和43年生まれ 東京都出身
平成20年7月 国際協力銀行開発金融研究所主任研究員
平成23年7月 財務省財務大臣秘書官事務取扱
平成25年6月 財務省主計局主計企画官(財政分析担当)
平成26年7月 財務省主計局給与共済課長
平成27年7月 財務省主計局主計官(防衛係担当)
平成28年7月 復興庁統括官付参事官
平成30年7月 国税庁長官官房人事課長
令和2年7月 厚生労働省大臣官房審議官(老健・障害保健福祉担当)
令和4年6月 国税庁課税部長
令和5年4月 現職

着任インタビュー(HP用堀内局長写真).jpg

大阪国税局長 堀内 斉

着任インタビュー(HP用新木副会長写真).jpg
【聞き手】
公益財団法人納税協会連合会
常任副会長
新木 敏克
〔令和5年5月9日収録〕


◎納税者サービスの見直しと適正・公平な課税・徴収の実現に向けて取り組む
新木 ご着任おめでとうございます。最初に、大阪国税局長にご着任されての抱負をお聞かせください。

堀内 私は、平成3年に旧大蔵省に入省し、これまで財務省主計局や主税局など、様々な仕事を経験してまいりました。このうち、国税の職場は、平成30年と令和元年に国税庁長官官房人事課長、令和4年に国税庁課税部長として、税務行政に携わりました。

 大阪国税局は全国の国税局の中でも、東京国税局に次ぐ職員数を抱え、西日本のセンター局として、国税組織の中核を成す非常に伝統のある組織であります。
 この度、伝統ある大阪国税局の局長として勤務する機会を得たことは大変光栄であり、その重責に身の引き締まる思いであります。
 税務行政を取り巻く環境は、経済社会のデジタル化・国際化の進展等により、大きく変化しています。
 こうした中においても、国税庁の使命である「納税者の自発的な納税義務の履行を適正かつ円滑に実現する」ことを果たしていくため、不断の努力で「納税者サービスの充実」と「適正・公平な課税・徴収」に取り組んでいきたいと考えております。
 まず、納税者サービスの充実については、「あらゆる税務手続が税務署に行かずにできる社会」という将来像に向けて、e─Tax等の利便性向上、相談チャネルの充実など、利用者目線に立って納税者サービスを包括的に見直してまいります。
 また、適正・公平な課税・徴収の実現への取組については、納税者の権利・利益の保護を図りつつ、適正に申告・納税を行っている多くの納税者が不公平感を抱くことのないよう、悪質な納税者に対してはデジタル技術も活用し、課税・徴収の効率化・高度化を図ってまいります。
 国税庁に課された使命を今後とも着実に果たしていくために、経済社会の変化に適切に対応しながら、税務行政を前に進めていきたいと考えています。
 国民の皆様から負託を受け、信頼できる税務行政を行っていくためには、納税者の皆様方との信頼関係を築くことが重要であると考えていますが、私どものみの力では到底成し得ないことから、納税協会の皆様方のご理解とご協力を賜りたいと考えておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。

新木 こちらこそよろしくお願いいたします。

◎関西経済の活性化に期待

新木 関西の文化や歴史等についてのご感想、そして関西経済への期待や提言をお聞かせください。また、これまでのご経歴における関西との関わりについて、ございましたら、ご紹介ください。


堀内 関西は、古くから都が置かれるなど日本の中心として栄えてきた歴史を持つほか、日本を代表する文化・芸能が生まれるなど、歴史と文化が非常に豊かな地域であり、世界文化遺産をはじめとして、国宝・重要文化財を数多く有する文化財の宝庫です。

 また、古くから日本酒の醸造が盛んであり、灘、伏見といった全国有数の酒どころがあるほか、山田錦をはじめとする酒造米の一大生産地もあります。
 一方で、数多くの高層ビルが立ち並び、現在も大型の複合再開発が相次いで行われており、深い歴史と近代的な街並みが融合した、大変魅力的な地域であると感じております。
 今回の大阪国税局での勤務はもちろんのこと、近畿地方での勤務自体が初めてということもあり、これから、関西の色々な場所に足を運んで、歴史や文化に直接触れていきたいと考えております。
 また、関西には、電気機器、製薬、保険など我が国をリードする企業が数多くあるほか、地域の特色を生かした産業も数多く、活気にあふれた地域と感じております。
 このような中、令和7年に開催される「大阪・関西万博」は、開催期間中に国内外から2800万人を超える来場者と約2兆円の経済波及効果が見込まれていますが、この万博の開催を控え、JR大阪駅北側の再開発地区「うめきた2期」では、オフィスやホテル、タワーマンションの建設が進んでおり、また、この再開発地区の玄関口として、本年3月にはJR大阪駅北側に関西国際空港などへのアクセスが向上する新たなホームが開業しました。
 そのほかにも、JR大阪駅周辺では、新たなビルが相次いで開業を予定しております。
 これらの明るい材料が要因となり、関西経済の活性化に期待したいと思います。

着任インタビュー(HP用全体写真).jpg

◎我が国の財政について

新木 我が国の財政について、現状を簡単にご説明いただくとともに、今後の展望をお聞かせください。
堀内 令和5年度の国の予算は、ロシアによるウクライナ侵攻を踏まえ、防衛費が前年度比1兆4192億円増の6兆7880億円となるなど、一般会計歳出総額は、過去最大の114兆3812億円となっております。

 一般会計予算における歳入のうち柱となる税収は、前年度当初予算に比べ4兆2050億円増の69兆4400億円を見込んでいることから、令和5年度予算の公債金収入(歳出と税収等との差額)は、35兆6230億円となり、公債依存度は前年度当初予算の34・3%から31・1%に低下することになりました。
 しかしながら、少子高齢化に伴い、年金や医療、介護などの社会保障費用は、前年度予算に比べ6154億円増加し、令和5年度予算では36兆8889億円にも上っていることから、社会保障制度の改革とともに将来世代へ負担を先送りしないためにも、税と保険料等の負担と給付のバランスについて、不断の検討を行っていく必要があります。
 いずれにしましても、歳入・歳出両面での財政健全化への取組を緩めることなく着実に実施していくことが求められるものと考えます。
 国税庁におきましても、限られた人員、予算の制約の中で、適正・公平な課税・徴収の実現を図るため、これまで以上に効果的かつ効率的な税務行政の運営に取り組んでいかなければならないと考えております。

◎「事業者のデジタル化促進」を目指す
新木 次に、税務行政の当面の課題と運営方針をお聞かせください。
堀内 税務行政を取り巻く環境は、経済社会のデジタル化や国際化の進展等により、これまで以上に変化しています。

 税務においても、デジタルの活用が広まることは、税務手続の簡便化だけではなく、単純誤りの防止による正確性の向上や、業務の効率化による生産性の向上等にもつながることが期待されます。
 また、国税当局側も、事務処理コストの削減や効率化、得られたデータの活用等を通じて、更なる課税・徴収事務の効率化・高度化を進められるものと考えています。
 こうした観点から、税務行政のデジタル・トランスフォーメーションを更に前に進めていくため、本年6月、「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション─税務行政の将来像2・0─」(令和3年6月公表)を改定し、「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション─税務行政の将来像2023─」を公表しました。ここでは、従前の「納税者の利便性の向上」と「課税・徴収事務の効率化・高度化等」という2本柱に加え、新たに「事業者のデジタル化促進」を3本目の柱として掲げています。
 これは、税務手続のデジタル化だけでなく、事業者の皆様方のデジタル化を併せて促進することにより、経済取引のデジタル化につなげていくという方針を示したものです。
 そうすることにより、皆様が日ごろ行う事務処理の一貫したデジタル処理が可能となり、生産性の向上等といった効果も期待されます。
 具体的な取組としては、納税協会の皆様方と連携し、キャッシュレス納付推進宣言式を開催しており、このような取組を通じて、事業者のデジタル化に向けた機運を醸成していきたいと考えております。
 なお、税務手続のデジタル化についても、例えば、本年1月から青色申告決算書や収支内訳書、消費税申告書についてもスマートフォンで作成し、e─Tax送信できるようになるなどの納税者の利便性の向上が図られており、引き続き、着実に進めていく予定です。
 このほか、本年10月からは、インボイス制度が始まります。
 制度開始まで残り5か月余りとなりましたが、事業者の方々がインボイス制度の開始に向け、不安なく必要な対応を進められるよう、令和5年度の税制改正の内容を含めた制度の周知・広報に引き続き、積極的に取り組んでまいります。特に、インボイス制度に係る登録をするかどうかの判断に困られている事業者の方々に対しては、個別に登録要否の相談に応じてまいります。
 これら納税者サービスの充実に取り組む一方で、適正な申告・納税を行った納税者が不公平感を抱くことがないよう、悪質な納税者には厳正な対応を行いながら、その他の納税者には、文書や電話による簡易な接触を行うなど、税務コンプライアンスの向上に努めてまいります。
 更に、酒類業の所管官庁としては、「酒類業の健全な発達」を図るため、政府方針である農林水産物・食品の輸出拡大に向け、継続的に日本産酒類の販路拡大や認知度向上に取り組み、令和4年分の輸出金額は1392億円と11年連続で過去最高を記録しています。今後、令和7年には、「大阪・関西万博」が予定されており、この万博という「またとない機会」を生かし、近畿2府4県の酒類を世界に向け、更なるPRができるよう、関係省庁と連携し、酒類業の振興に向けてより一層積極的に取り組んでまいります。
 このような様々な取組を推進していくことにより、税務行政の基本である、納税者サービスの充実と適正・公平な課税・徴収の実現に努めてまいりたいと思っております。

◎納税協会との連携・協調に意欲

新木 納税協会は、税に関する公益法人として、e─Tax利用推進運動やインボイス制度の周知・広報などに積極的に取り組んでいます。また、次代を担う青年部会を中心として、租税教室の開催や税のPR活動、ボランティアによる地域貢献にも力を注いでいます。

 納税協会へのご注文、ご期待などがありましたら、お聞かせください。

堀内 納税協会は、個人・法人を問わず、加入することができる全国に例のない組織として、税知識の普及、適正な申告納税の推進及び納税道義の高揚を図るという目的のため日々ご尽力いただいており、私どもにとりましても大変心強い存在となっております。

 また、納税協会の部会の中でも、次代を担う青年部会は、積極的に事業活動を行っていただいており、組織の活性化に取り組んでおられると聞いております。
 特に、青年部会の共通の活動テーマとして特に力を入れて取り組んでおられる租税教育活動については、令和4年度の租税教室への講師派遣人数が対前年比471名増(対前年比181・3%)と大幅に増加するなど、コロナ禍の落ち着きによる租税教室の需要拡大にも柔軟に対応いただき、租税教育の充実に大きく貢献しておられます。
 本年10月には、14回目となる「納税協会青年の集い」が京都で開催されますが、このように、次代を担う青年部会が中心となって、今後も熱意を持って組織の活性化に取り組まれることを期待しております。
 更に、各納税協会におかれましては、本年10月から導入されるインボイス制度につきまして、我々と緊密に連携し、説明会の開催をはじめとして周知・広報にも積極的に取り組んでいただいております。
 私どもといたしましても、納税協会の皆様とは様々な事業活動を通じ、税務行政の良き理解者、良きパートナーとして、これまで以上により良い連携・協調関係を築いていきたいと考えております。
 今後も魅力ある事業を活発に展開され、地域社会での納税協会の存在意義を高めるとともに、より一層、企業経営及び地域社会の発展に貢献されますことを期待しております。
 引き続きご理解とお力添えをよろしくお願いいたします。

◎休日は関西の名所へ

新木 仕事におけるモットー、座右の銘などについてお聞かせください。

堀内 座右の銘というほどではありませんが、仕事でもプライベートでも楽しい時もあれば、時々辛いこともあります。そうした時に、「人間万事塞翁が馬」という言葉を折に触れて思い出しています。

新木 それでは、最後に、余暇の過ごし方、趣味などについてお聞かせください。
堀内 趣味としましては、学生時代からスポーツ観戦が大好きであり、休日には、野球やラグビーをテレビで観戦したり、昨年盛り上がりを見せたFIFAワールドカップの模様はよくテレビで見ていました。

 また、体を動かすことも好きで、機会を見つけてはウォーキングをしております。関西には、歴史のある神社仏閣もありますし、電車に乗れば、自然豊かな山や海にも行けますので、休日にはそのような地域に足を延ばしてみたいと考えております。

新木 お体にお気を付けていただきまして、ご活躍されますことを、納税協会の会員の皆様とともに祈っております。

本日は、お忙しいところ、ありがとうございました。


(納税月報 2023年8月号より)

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