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税制改正要望書

平成29年度税制改正要望書

公益財団法人納税協会連合会
(日本維新の会については、下地幹郎氏(衆議院議員)の国会事務所に要望書を提出しました。
また、国税庁については、長官・次長を表敬訪問し、意見交換を行いました。)

財務省
主税局審議官
井上 裕之 氏

公益財団法人 納税協会連合会 税制要望審議会委員長 熊田 昭夫(写真左から2人目)
公益財団法人 納税協会連合会 常任副会長 辻 誠一(写真右)
公益財団法人 納税協会連合会 税制委員長 山崎 義彰(写真左)

総務省
自治税務局長
林﨑 理 氏

自由民主党
税制調査会幹事
石田 真敏 氏

公明党
副代表
北側 一雄 氏

民進党
税制調査会長
古川 元久 氏

納税協会の概要

〔沿 革〕
納税協会は、昭和19年(1944年)に大阪財務局管内で誕生し、それ以来今日まで、税務や税務行政の分野で幅広い活動を進めてまいりました。
 大阪国税局の83税務署管内(近畿2府4県)すべてに設立され、現在では、約15万6千人社の会員を擁しております。
〔特 色〕
 納税協会は、税に関する健全な納税者の団体として、納税道義の高揚、自主申告の推進、税務知識の普及を図るとともに、納税者と税務当局とのパイプ役として、税務行政の円滑な運営に協力しています。
 会員は、管内の個人・法人をもって構成され、また、納税貯蓄組合についても、納税協会が事務局を兼ねているため、他の国税局管内における青色申告会、法人会、納税貯蓄組合の三者が一体となった組織ということができます。
〔現 況〕
1 納税協会数 83(すべて公益社団法人)
2 会 員 数 法人会員約7万5千社、個人会員約8万1千人
3 主な事業活動
 (1) 税法説明会・講習会の開催
 (2) 個人青色申告者の育成
 (3) 小規模事業者の記帳指導、簿記・パソコン会計・パソコン・e−Tax操作の各教室の開催
 (4) 税制改正要望書の提出
 (5) 機関誌「納税月報」(法人版・個人版)の刊行
 (6) 税務解説書などの刊行
 (7) 「税に関する論文」の募集
 (8) 経営者大型総合保障制度などの福祉制度の推進

はしがき

 税金は、私たちが社会生活を営む上で、欠くことのできない役割を果たしています。
 そのため、私たちは常に税金を身近な対象としてとらえ、その時々の社会や時代にふさわしい装いに改めていく必要があります。納税協会ではこのような観点から、税金をよく知っていただくための広報活動にあわせて、税制改正問題にも積極的に取り組んでいます。その活動として、会員の皆様方だけでなく、広く一般の声も集約し、政府や政党へ税制改正要望書を提出しています。この冊子は、今年の要望書の内容を収めたものです。納税協会の事業活動をご理解いただく一助ともなれば幸いです。

はじめに

 我が国の経済は、急激な円高・株安、平成28年熊本地震、新興国の成長減速に加え、消費不振などから景気は低迷し、厳しい状況が続いている。
 また、英国のEU離脱、中国経済の先行き不安、米国の次期大統領選の行方等、我が国経済にとって大きな影響を及ぼす不安定要因が多数存在している。
 一方、国及び地方の財政はますます悪化し、本年度末の長期債務は1,062兆円(対GDP比205%)に達すると予測されており、2020年までに基礎的財政収支を黒字化するという政府の目標達成は、消費税率の引上げが2019年10月まで再延期されたことから、更に厳しい状況となった。
 また、社会面では、2020年オリンピック・パラリンピックの東京開催や、外国人旅行者の増加等の明るいニュースもあるが、東京一極集中の弊害による人材確保難、加速度的に進展する少子高齢化、非正規社員の増加などによる所得格差の拡大、将来の年金に対する不安、医療費負担の増加、深刻化する教育問題、自動車の燃費データ不正に代表される企業・社会モラルの低下、頻発する国際テロにより抑制される企業の海外進出等、問題が山積している。
 このように経済・財政・社会のすべての面において厳しい状態にあるにも拘わらず、政府の財政健全化計画は、高い経済成長率による税収増を前提としたものとなっているが、「入るを量りて出ずるを為す」という財政の基本に立ち返り、安定的かつ持続可能な成長を前提としていくことが最も重要である。
 納税協会は、こうした状況下にあっても、事業経営に日々努力し、税を最も身近に感じている納税協会会員はもとより、会員以外の納税者の切実な声を広く集約し、次の事項に重点を置いた税制改正を要望する。

基本要望事項

1

税制の構築に当たっては、次の事項に配意すること。

(1) 税制の基本である「公平・中立・簡素」の三原則に適合した税制とすること。
(2) 企業の国際競争力、技術力を高めるとともに経済全般の活性化が図れる税制とすること。
(3) 所得税や相続税などの更なる課税強化は、国内資産だけでなく有能な人材の海外流出によって、国力の低下を助長させることにもなりかねないため、十分配意すること。
(4) 社会保障と税の一体改革については、中長期的な展望を示した上で、問題を先送りすることなく、着実に実行すること。*1
(5) 納税者の勤労意欲、事業意欲、納税意欲を阻害せず、理解と納得が得られる税制とすること。
(6) 我が国企業数の大部分を占め、雇用の約7割を確保している中小企業は、後継者不在のまま高齢化が進んでいることから、事業を活性化させ、承継持続できる税制とすること。
(7) 租税の税率改定等については、会計年度に合わせ、4月施行とすること。
2 地域格差の是正、過疎化対策、雇用拡大の面から、活性化が望まれる地域に、企業が積極的に進出できるよう税制面での優遇を図ること。
特に、農業・漁業経営の安定・発展、また、森林・林業の再生を支援する税制とすること。
さらに、伝統工芸を含む地場産業等については、地域の活力ある発展に寄与するものであることから、税制面においても配意すること。
3 いわゆるマイナンバー制度については、課税の公平を図るとともに電子政府の実現を見据えて、各行政機関が連携し、行政全般の適正処理と効率化及び国民の利便性の向上に資するものであること。
また、手続の簡素化や個人情報の保護に十分配意すること。
4 租税教育は、国民に必要な生涯教育の一つであることから、その対象者を小中高生はもとより大学生・社会人にまで拡充させること。
5 納税道義の高揚と税務行政に対する信頼をより高めるため、次の事項に配意すること。
(1) 国と地方公共団体の税務行政機関が相互に効率的な運営を図り、税務行政手続の簡素化及び納税者の事務負担の軽減に努めること。
(2) 納税者に不公平感を抱かせないために、税務行政の執行に携わる人員を確保するとともに、「パナマ文書」で注目された国際的な租税回避や富裕層の課税逃れ等を防止し、悪質な納税者に対する税務調査を徹底すること。
(3) 不正な申告者や悪質な滞納者に対する罰則を更に強化すること。
(4) 税務関係協力団体との信頼関係の醸成と支援体制の確立に努めること。

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*1 国民負担率の国際比較については、図表1 のとおりである。

個別要望事項

Ⅰ 所 得 税
1 所得控除については、基礎控除額を引き上げること。*2
また、基礎控除以外の所得控除については、税と社会保障の役割を明確にするとともに、子育て世帯に配意したものとすること。
2 土地、建物等の譲渡により生じた損失については、損益通算及び繰越控除を認めること。*3
3 青色申告者の純損失の繰越控除期間については、更正の請求などに係る期間と同様の5年間とすること。*4
4 不動産所得の必要経費に算入した土地等の取得のための負債の利子については、その全額を損益通算の対象とすること。*5
5 所得区分については、経済社会の変化に対応したものに見直すこと。*6
6 譲渡所得の取得費等については、次の措置を講ずること。
(1) 長期譲渡所得の概算取得費を引き上げること。*7
(2) 相続税を課された不動産を譲渡した場合は、相続時の評価額を取得費として認めること。
(3) 土地や建物を譲渡した場合の特別控除額において、長期譲渡所得に限り100万円の特別控除を設けること。*8

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*2 所得控除には、雑損控除、医療費控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除、寄附金控除、障害者控除、寡婦(寡夫)控除、勤労学生控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除及び基礎控除の14種類がある。
*3 平成16年度改正により、平成16年1月1日以後の土地、建物等の譲渡について、他の所得との損益通算及び繰越控除が認められなくなった。
*4 青色申告者の純損失の繰越控除期間は3年である。
*5 不動産所得の損失金額の計算上、土地等の取得に係る負債利子がある場合には、平成4年分以後、一定の負債利子について、損益通算に制限が設けられている。
*6 現行の所得区分は、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得及び雑所得の10種類に区分されている。
*7 長期譲渡所得の概算取得費は、譲渡収入金額の5%相当額である。
*8 長期譲渡所得の100万円特別控除は、平成16年度改正により、平成16年分以降の所得税について廃止された。
なお、譲渡所得のうち、ゴルフ会員権の譲渡益とそれ以外の総合課税の譲渡益の合計額に対しては、最高50万円の特別控除がある。


Ⅱ 法 人 税
1 法人税の基本税率を大胆に引き下げるとともに中小法人の軽減税率適用所得金額を大幅に引き上げること。*9*10
2 中小法人の設備投資(ソフトウエアなども含む。)に対する優遇策を更に拡充すること。
3 研究開発を支援するため、現行制度を更に拡充すること。*11
4 受取配当等を全額益金不算入とすること。*12
5 退職給与引当金及び賞与引当金の損金算入制度を復活させること。*13
6 交際費等のうち、社会通念上相当と認められる慶弔費等については、損金不算入となる交際費等の範囲から除くこと。*14
7 寄附金の損金算入限度額を引き上げるとともに指定寄附金・特定寄附金の範囲を拡大すること。*15
8 同族会社における「みなし役員」及び「使用人兼務役員」の判定基準となっている持株割合による判定制度を廃止すること。*16
また、特定同族会社に対する留保金課税を廃止すること。*17
9 租税特別措置法は、複雑かつ多岐にわたっているため簡素化すること。
10 中小企業者等の法人税率の特例は、租特透明化法において提出が義務付けられている「適用額明細書」の記載対象から除外すること。*18*19
11 企業会計と税務会計の同一化を可能な限り図ること。

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*9 平成28年3月改正により、法人税の基本税率は、平成28年4月1日以後開始事業年度から23.4%(改正前23.9%)に引き下げられた。
*10 中小法人の軽減税率適用所得金額は、昭和56年度以降、年800万円以下に据え置かれている。なお、軽減税率適用所得の税率15%は、平成29年3月31日までとされている。法人実効税率の国際比較は、図表2 のとおりである。
*11 研究開発に対する法人税額の特別控除制度として、①試験研究費の総額に係る税額控除制度、②特別試験研究に係る税額控除制度、③中小企業技術基盤強化税制、④試験研究費の額が増加した場合等の税額控除制度が設けられている。
*12 平成27年3月の改正で株式等保有割合が5%以下の非支配目的株式等の場合は20%、株式等保有割合が5%を超え3分の1以下の場合は50%を益金不算入とすることとされた。
*13 平成15年以降、退職給与引当金及び賞与引当金は、損金に算入できないこととなっている。
*14 交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入れ先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出する費用である。ただし、次の費用は交際費等から除かれる。
① 専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用
② 飲食その他これに類する行為のために要する費用で、一人当たり5,000円以下の一定の飲食費
③ カレンダー、うちわ、手帳などの物品を贈与するための費用等
*15 平成24年4月1日以後開始事業年度から、普通法人における一般寄附金の損金算入限度額が縮減されるとともに、特定公益増進法人等に対する寄附金の損金算入限度額が拡充された。
*16 同族会社の使用人のうち、一定の持株基準を満たし、かつ、その法人の経営に従事している者は、「みなし役員」に該当することとされている。
*17 平成19年度改正において、資本金の額又は出資金の額が1億円以下の「中小特定同族会社」については、留保金課税の適用対象から除外されている。
*18 平成22年度改正により、「租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律(租特透明化法)」が制定され、平成23年4月1日以後終了する事業年度において法人税関係の租税特別措置を適用する場合には、「適用額明細書」を作成し、法人税申告書に添付して税務署に提出する必要がある。
*19 当該法人税率の特例は、法人税申告書 別表一に記載することとなっている。


Ⅲ 所得税・法人税共通事項
1 少額減価償却資産の取得価額基準10万円を、30万円に引き上げること。*20,21,22
2 減価償却資産の耐用年数を見直し、短縮化を図ること。
3 電話加入権は、固定資産に適さないものであるため、税制上、適切な措置を講じること。*23
4 特定の事業用資産の買換え特例の適用要件を緩和すること。*24

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*20 使用可能期間が1年未満又は取得価額が10万円未満である減価償却資産については、取得時に損金算入することができる。
*21 取得価額が10万円以上20万円未満の減価償却資産については、一括償却資産として3年間で均等償却することができる。
*22 青色申告書を提出する中小企業者等については、取得価額が30万円未満の減価償却資産は、年間取得価額の合計額300万円を限度として即時償却することができる。
*23 電話加入権(施設設置負担金)は、譲渡可能な権利で時間の経過によっても変化しないため、減価償却ができない無形固定資産とされている。
*24 特定の事業用資産の買換え等のうち、長期保有資産の買換え(9号買換え)は、平成27年度税制改正により、買換資産から機械装置が除外されるとともに、圧縮限度額の一部改正を行った上、平成29年3月31日まで延長された。


Ⅳ 相続税・贈与税
1 取引相場のない株式の評価額を引き下げるよう、評価方法を見直すこと。*25
2 中小企業の事業承継がより円滑に行えるようにするため、相続税における納税猶予制度の各種要件を更に緩和すること。*26
3 相続時精算課税制度の非課税枠を拡大すること。*27
4 未成年の法定相続人については、未成年者の税額控除を更に拡充すること。*28
5 贈与税の基礎控除額を引き上げること。*29
6 相続税・贈与税の連帯納付義務は廃止すること。*30

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*25 取引相場のない株式は、相続や贈与などで株式を取得した株主が、その株式を発行した会社の経営支配力を持っている同族株主か、それ以外の株主等かの区分により、それぞれ原則的評価方式(類似業種比準方式、純資産価額方式)又は特例的な評価方式(配当還元方式)により評価する。
*26 平成21年度改正において、中小企業における非上場株式等の相続税額を80%納税猶予する制度が創設され、平成25年度改正ではその適用要件等が見直された。主な適用要件の緩和内容は、次のとおりである。
①雇用確保要件の緩和
 改正前の8割以上の雇用維持が、5年間平均で8割以上確保に緩和された。
②後継者の親族間承継要件の緩和
 被相続人の親族に限定されていたものが、親族以外の者も適用対象とすることとされた。
③先代経営者の役員退任要件の緩和
 先代経営者は、贈与時に役員でないこととする要件が緩和され、贈与時に代表者を退任すれば、贈与後に引き続き有給役員として残留することが可能とされた。
非上場株式等についての相続税の納税猶予制度については、図表3 のとおりである。
*27 相続時精算課税制度の非課税枠は2,500万円である。相続時精算課税のしくみについては、図表4 のとおりである。
*28 未成年者の税額控除額は、平成25年度改正において、その未成年者が満20歳になるまでの年数1年につき10万円(改正前6万円)で計算した額に引き上げられた。
*29 贈与税の基礎控除額は、平成13年以降、110万円に据え置かれている。
*30 平成24年度改正において、相続税の連帯納付義務について、①申告期限から5年を経過する日までに納税通知が届かなかった場合、②納税義務者が延納又は納税猶予の適用を受けた場合には連帯納付義務が解除されることとなった。

Ⅴ 間接税等
1 消費税*31
(1) 軽減税率の導入による複数税率化は、事業者にとって事務負担が増加するだけでなく、税制の簡素化にも逆行するため、単一税率とすること。
また、インボイス方式の導入を行わないこと。
(2) 課税の公平の観点から、免税点を現行の1,000万円から引き下げること。
(3) 簡易課税制度については、適用基準金額を現行の5,000万円から引き下げること。
(4) 消費税の納税義務、簡易課税制度の適用は、当該課税期間の課税売上高で判定するように改めること。
(5) 消費税課税事業者選択(不適用)届出書及び簡易課税制度選択(不適用)届出書などの提出期限を確定申告期限と同一にすること。
2 酒税、石油関連税等
消費税との二重課税であり、抜本的な見直しを図ること。
3 印紙税
経済取引の変化や複雑化などにより、課税の公平の観点においても問題が生じていることから、廃止すること。

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*31 主要国の付加価値税の概要については、図表5 のとおりである。


Ⅵ 地 方 税
1 住民税(道府県民税・市町村民税)
(1) 個人住民税の所得控除額を所得税と同一とし、簡素化を図ること。
(2) 個人が一の道府県内の異なる市町村に住所と事務所等を有する場合、それぞれに道府県民税均等割が課されるのは不合理であるから、法人の場合と同様に住所のみに課すこと。
2 固定資産税
(1) 税率を引き下げること。
(2) 事業用の土地・建物について、中小企業を支援するための軽減措置を講じること。
(3) 固定資産税評価額の算出方法を簡素化するとともに、特に建物については、経年減点補正率を大幅に引き下げるなど実態に即した評価を行い、評価制度の信頼性を高めること。*32
また、納税者の理解を得るため、税額の算出過程を明示すること。
(4) 既存(中古)住宅を取得した場合にも、新築住宅と同様に減額の特例を適用できるように制度の拡充を図ること。
(5) 償却資産を課税対象から除くこと。*33
3 事業所税
事業所税は、床面積を課税標準とする資産割については固定資産税及び都市計画税と、また、従業者給与総額を課税標準とする従業者割については法人事業税の外形標準課税と、類似の課税標準であり二重課税ともいえるため、廃止すること。
4 不動産取得税
不動産取得税の免税点は、土地の取得については10万円、家屋の取得のうち建築したもの1戸については23万円、その他のもの1戸については12万円と極めて低額であるため、大幅に引き上げること。

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*32 「経年減点補正率」 は20%が限度となっているため、年数が経った古い家屋でも、評価額は「再構築価格」の20%の価格に据え置かれ、固定資産税が課税される。
*33 中小企業等経営強化法の施行により、中小企業者が経営力向上計画に基づき取得する一定の機械装置については、3年間、固定資産税が2分の1に軽減される。


Ⅶ その他
1 源泉所得税12月分の納期限については、納期特例分と同様に翌年1月20日とすること。*34
2 法人税、法人の消費税の確定申告書の提出期限及び納付期限を事業年度終了後、3か月以内とすること。
3 所得税、消費税の準確定申告書の提出期限(相続の開始を知った日の翌日から4か月を経過した日の前日まで)を相続税の申告書の提出期限(相続の開始を知った日の翌日から10か月以内)と同一にすること。
4 二以上の都道府県又は市町村に事務所等を有する法人の住民税及び事業税は、主たる事務所等の所在地の都道府県又は市町村に一括して申告納付できるように改めること。
5 国税及び地方税の電子申告・納税については、諸手続の簡素化及び年間を通して終日利用できるなどシステムの更なる改善を図ること。

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*34 平成24年7月1日以後、給与の支給人員が常時10人未満である源泉徴収義務者が、「源泉所得税の納期の特例に関する申請書」を提出した場合は、7月から12月までの間に支払った給与等及び退職手当等につき徴収した所得税の納期限が翌年1月20日となる。

特別要望事項

現下の我が国においては、財政再建、震災復興、資源・エネルギー、少子高齢化、労働力不足、国内産業の空洞化、防災・減災インフラ老朽化対策、そして防衛、外交など、多くの問題を抱えている。
先般、事業規模28兆円超となる「未来への投資を実現する経済対策」が閣議決定されたが、経済成長に注力されたものであり、2020年度の財政健全化目標の達成に向けたプロセスが見えてこない。
また、人や情報の東京への集中が加速し続ける中、地域経済の再生を促進するため「地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)」が施行されたが、日本全体の経済再生のためにも、地方への権限や税源の移譲等に本格的な取組みが不可欠である。*35
税収を自然増させるための経済政策、無駄な財政支出の削減、消費税を目的税化した社会保障関連経費、少子化を見込んだ将来対策等、女性が活躍できる社会の実現等、具体的な施策を示した上で、中長期的な展望に立脚し、努力した人が報われる社会の形成に寄与する、国家・国民のための税制を早期に構築することを要望する。

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*35 国・地方の税源配分については、図表6 のとおりである。

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