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税制改正要望書

平成28年度税制改正要望書

公益財団法人納税協会連合会
(この税制改正要望は、納税協会連合会会長名で、政府・政党に提出しました。
また、国税庁については、長官・次長を表敬訪問し、意見交換を行いました。)

財務省
大臣官房審議官(主税局担当)
矢野 康治 氏

公益財団法人 納税協会連合会 税制要望審議会委員長 今井 一史(写真右から2人目)
公益財団法人 納税協会連合会 常任副会長 辻 誠一(写真右)
公益財団法人 納税協会連合会 税制委員長 山崎 義彰(写真左)

総務省
自治税務局長
青木 信之 氏

自由民主党
税制調査会幹事
石田 真敏 氏

公明党
副代表
北側 一雄 氏

民主党
税制調査会長
古川 元久 氏

はじめに

我が国の経済は、失われた20年を取り戻したようにも見えるが、株価の上昇・円安効果による恩恵は、広く日本全体には行き渡っておらず、依然として厳しい状況が続いている。
特に、個人消費は、昨年4月からの消費税率引上げの影響から回復基調にはあるものの、緩やかなペースに留まっている。
また、中国経済の減速、ギリシャの債務危機、予想される米国の利上げ等、我が国経済にとって大きな影響を及ぼす不安定要因が多数存在している。
一方、国及び地方の財政はますます悪化し、長期債務は1,035兆円に達しており、2020年までに基礎的財政収支を黒字化するという政府の目標達成は、極めて難しい状況にあると言わざるを得ない。*1
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*1 債務残高の国際比較については、図表1 のとおりである。

また、社会面では、2020年オリンピック・パラリンピックの東京開催という明るいニュースもあるが、東京一極集中の弊害による人材確保難、加速度的に進展する少子高齢化、非正規社員の増加などによる所得格差の拡大、将来の年金に対する不安、医療費負担の増加、深刻化する教育問題、社会的モラルの低下など、問題が山積している。
このように経済・財政・社会のすべての面において厳しい状態にあるにも拘わらず、政府の財政健全化計画は、高い経済成長率による税収増を前提としたものとなっている。「入るを量りて出ずるを為す」という財政の基本に立ち返り、安定的かつ持続可能な成長を前提としていくことが最も重要である。
納税協会は、こうした状況下にあっても、事業経営に日々努力し、税を最も身近に感じている納税協会会員はもとより、会員以外の納税者の切実な声を広く集約し、次の事項に重点を置いた税制改正を要望する。

基本要望事項

1

税制の構築に当たっては、次の事項に配意すること。

(1) 税制の基本である「公平・中立・簡素」の三原則に適合した税制とすること。
(2) 企業の国際競争力、技術力を高めるとともに経済全般の活性化が図れる税制とすること。
(3) 所得税や相続税などの更なる課税強化は、国内資産だけでなく有能な人材の海外流出によって、国力の低下を助長させることにもなりかねないため、十分配意すること。
(4) 社会保障と税の一体改革については、中長期的な展望を示した上で、問題を先送りすることなく、着実に実行すること。*2
(5) 納税者の勤労意欲、事業意欲、納税意欲を阻害せず、理解と納得が得られる税制とすること。
(6) 我が国企業数の大部分を占め、雇用の約7割を確保している中小企業は、後継者不在のまま高齢化が進んでいることから、事業を活性化させ、承継持続できる税制とすること。
2 地域格差の是正、過疎化対策、雇用拡大の面から、活性化が望まれる地域に、企業が積極的に進出できるよう税制面での優遇を図ること。
特に、農業・漁業経営の安定・発展、また、森林・林業の再生を支援する税制とすること。
さらに、伝統工芸を含む地場産業等については、地域の活力ある発展に寄与するものであることから、税制面においても配意すること。
3 いわゆるマイナンバー制度については、課税の公平を図るとともに電子政府の実現を見据えて、各行政機関が連携し、行政全般の適正処理と効率化及び国民の利便性の向上に資するものであること。*3
また、手続の簡素化や個人情報の保護に十分配意すること。
4 租税教育は、国民に必要な生涯教育の一つであることから、その対象者を小中高生はもとより大学生・社会人にまで拡充させること。
5 納税道義の高揚と税務行政に対する信頼をより高めるため、次の事項に配意すること。
(1) 国と地方公共団体の税務行政機関が相互に効率的な運営を図り、税務行政手続の簡素化及び納税者の事務負担の軽減に努めること。
(2) 納税者に不公平感を抱かせないために、税務行政の執行に携わる人員を確保するとともに、国際的な租税回避を防止し、悪質な納税者に対する税務調査を徹底すること。
(3) 不正な申告者や悪質な滞納者に対する罰則を更に強化すること。
(4) 税務関係協力団体との信頼関係の醸成と支援体制の確立に努めること。

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*2 国民負担率の国際比較については、図表2 のとおりである。
*3 主要諸国の番号制度については、図表3 のとおりである。

個別要望事項

Ⅰ 所 得 税
1 所得控除*4 については、基礎控除額を引き上げること。
また、基礎控除以外の所得控除については、税と社会保障の役割を明確にするとともに、子育て世帯に配意したものとすること。*5,6
2 土地、建物等の譲渡により生じた損失については、損益通算及び繰越控除*7 を認めること。
3 青色申告者の純損失の繰越控除期間*8 については、更正の請求などに係る期間と同様の5年間とすること。
4 不動産所得の必要経費に算入した土地等の取得のための負債の利子については、その全額を損益通算の対象*9 とすること。
5 所得区分*10 については、経済社会の変化に対応したものに見直すこと。
6 譲渡所得の取得費については、次の措置を講ずること。
(1) 長期譲渡所得の概算取得費*11 を引き上げること。
(2) 相続税を課された不動産を譲渡した場合は、相続時の評価額を取得費として認めること。*12

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*4 所得控除には、雑損控除、医療費控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除、寄附金控除、障害者控除、寡婦(寡夫)控除、勤労学生控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除及び基礎控除の14種類がある。
*5 平成22年度税制改正においては、子ども手当の創設に伴い、年少扶養親族に係る扶養控除が廃止され、さらに平成24年度には、扶養控除を復活させることなく、子ども手当のみ廃止(児童手当に改組)された。
*6 扶養控除等の判定は、12月31日現在の年齢で判断され、「早生まれ」の者については、「早生まれ」でない者に比べ扶養控除等の適用が1年遅れとなる。また、「早生まれ」の者が高校3年あるいは大学4年で卒業し就職した場合、1年分の扶養控除等が受けられない。
*7 平成16年度改正により、平成16年1月1日以後の土地、建物等の譲渡について、他の所得との損益通算及び繰越控除が認められなくなった。
*8 青色申告者の純損失の繰越控除期間は3年である。
*9 不動産所得の損失金額の計算上、土地等の取得に係る負債利子がある場合には、平成4年分以後、一定の負債利子について、損益通算に制限が設けられている。
*10 現行の所得区分は、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得及び雑所得の10種類に区分されている。
*11 長期譲渡所得の概算取得費は、譲渡収入金額の5%相当額である。
*12 相続財産を相続税の申告期限から3年以内に譲渡した場合は、相続税額のうち、一定の額を譲渡所得の取得費に加算することができる。


Ⅱ 法 人 税
1 法人税の基本税率*13 を大胆に引き下げるとともに中小法人の軽減税率適用所得金額*14 を大幅に引き上げること。
2 中小法人の設備投資(ソフトウエアなども含む。)に対する優遇策*15 を更に拡充すること。
3 研究開発を支援するため、現行制度*16 を更に拡充すること。
4 受取配当等を全額益金不算入*17 とすること。
5 退職給与引当金及び賞与引当金の損金算入制度を復活させること。*18
6 交際費等*19 のうち、社会通念上相当と認められる慶弔費等については、損金不算入となる交際費等の範囲から除くこと。*20 ,21
7 寄附金の損金算入限度額*22 を引き上げるとともに指定寄附金・特定寄附金の範囲を拡大すること。
8 同族会社における「みなし役員*23 」及び「使用人兼務役員」の判定基準となっている持株割合による判定制度及び留保金課税*24 を廃止すること。
9 租税特別措置法は、複雑かつ多岐にわたっているため簡素化すること。
10 租特透明化法*25 における中小企業者等の法人税率の特例(措置法第42条の3の2)については、法人税申告書別表一などでその適用状況を把握できるため*26 、「適用額明細書」提出義務規定から除外すること。
11 企業会計と税務会計の同一化を可能な限り図ること。

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*13 平成27年3月改正により、法人税の基本税率は、平成27年4月1日以後開始事業年度から23.9%(改正前25.5%)に引き下げられた。
*14 中小法人の軽減税率適用所得金額は、昭和56年度以降、年800万円以下に据え置かれている。なお、平成24年4月1日から平成27年3月31日までの間に開始する各事業年度における軽減税率適用所得金額の税率15%は、平成29年3月31日まで適用期限が2年延長された。国・地方を合わせた法人税率の国際比較は、図表4 のとおりである。
*15 現行の中小法人に対する優遇策の主なものは、次のとおりである。
(1)少額減価償却資産(30万円未満。ただし、年間取得合計金額300万円まで)の取得価額の損金算入制度
(2)国内の設備投資を増加させた場合の特別償却又は特別税額控除制度
(3)雇用者給与等支給額が増加した場合の特別税額控除制度 など
*16 研究開発に対する法人税額の特別控除制度として、(1)試験研究費の総額に係る税額控除制度、(2)特別試験研究に係る税額控除制度、(3)中小企業技術基盤強化税制、(4)試験研究費の額が増加した場合等の税額控除制度が設けられている。
*17 平成27年3月の改正で株式等保有割合が5%以下の非支配目的株式等の場合は20%、株式等保有割合が5%を超え3分の1以下の場合は50%を益金不算入とすることとされた。
*18 平成15年以降、退職給与引当金及び賞与引当金は、損金に算入できないこととなっている。
*19 交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入れ先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出する費用である。ただし、次の費用は交際費等から除かれる。
(1)専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用
(2)飲食その他これに類する行為のために要する費用で、一人当たり5,000円以下の一定の飲食費
(3)その他の費用
*20 平成25年度改正により、資本金1億円以下の法人が支出する交際費の損金算入限度額が800万円(改正前は600万円)に引き上げられるとともに、その金額まで損金算入が可能となった。
*21 平成26年度改正により、資本金の額に関係なく、交際費等のうち、飲食のために支出する費用の50%を損金に算入することとされた(資本金1億円以下の法人は上記800万円との選択適用)。
*22 平成24年4月1日以後開始事業年度から、普通法人における一般寄附金の損金算入限度額が縮減されるとともに、特定公益増進法人等に対する寄附金の損金算入限度額が拡充された。なお、それぞれの寄附金の損金算入限度額は、次の算式によって計算する。
(1)普通法人における一般寄附金の損金算入限度額
(所得金額×2.5%+期末資本金等の額×0.25%)×1/4
(2)特定公益増進法人等に対する寄附金の損金算入限度額
(所得金額×6.25%+期末資本金等の額×0.375%)×1/2
*23 同族会社の使用人のうち、次の持株基準を満たし、かつ、その法人の経営に従事している者は、「みなし役員」に該当することとされている。 (1)当該使用人が、同族会社の判定基礎となった株主グループに属していること。
(2)当該使用人の属する株主グループの持株割合が10%を超えていること。
(3)当該使用人(配偶者等を含む。)の持株割合が5%を超えていること。
*24 同族関係者1グループで株式等50%超保有の同族会社については、各事業年度の所得のうち一定以上の金額を社内に留保したときは、これに対して、付加的に法人税が課せられる。なお、平成19年度改正において、資本金の額又は出資金の額が1億円以下の「中小特定同族会社」については、留保金課税の適用対象から除外されている。
*25 平成22年度改正により、「租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律(租特透明化法)」が制定され、平成23年4月1日以後終了する事業年度において法人税関係の租税特別措置を適用する場合には、「適用額明細書」を作成し、法人税申告書に添付して税務署に提出する必要がある。
*26 当該法人税率の特例は、法人税申告書別表一に記載することとなっている。


Ⅲ 所得税・法人税共通事項
1 少額減価償却資産の取得価額基準10万円を、30万円に引き上げること。*27,28,29
2 減価償却資産の耐用年数を見直し、短縮化を図ること。
3 電話加入権*30 は、固定資産に適さないものであるため、税制上、適切な措置を講じること。
4 高齢者を雇用している事業者については、税制面での優遇措置を図ること。
5 特定の事業用資産の買換え特例の適用要件*31 を緩和すること。

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*27 使用可能期間が1年未満又は取得価額が10万円未満である減価償却資産については、取得時に損金算入することができる。
*28 取得価額が10万円以上20万円未満の減価償却資産については、一括償却資産として3年間で均等償却することができる。
*29 青色申告書を提出する中小企業者等については、取得価額が30万円未満の減価償却資産は、年間取得価額の合計額300万円を限度として即時償却することができる。
*30 電話加入権(施設設置負担金)は、譲渡可能な権利で時間の経過によっても変化しないため、減価償却ができない無形固定資産とされている。
*31 平成26年度税制改正により、一定の適用範囲の見直しを行った上、適用期限が平成29年12月31日(法人は平成29年3月31日)まで延長された。なお、特定の事業用資産の買換え等のうち、長期保有資産の買換え(9号買換え)は、平成27年度税制改正により、買換資産から機械装置が除外されるとともに、圧縮限度額の一部改正を行った上、平成29年3月31日まで延長された。


Ⅳ 相続税・贈与税
1 取引相場のない株式の評価額*32 を引き下げるよう、評価方法を見直すこと。
2 中小企業の事業承継がより円滑に行えるようにするため、相続税における納税猶予制度の各種要件*33 を更に緩和すること。
3 相続時精算課税制度の非課税枠*34 を拡大すること。
4 未成年の法定相続人については、未成年者の税額控除*35 を更に拡充すること。
5 贈与税の基礎控除額*36 を引き上げること。
6 相続税・贈与税の連帯納付義務*37 は条件を付けずに廃止すること。

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*32 取引相場のない株式は、相続や贈与などで株式を取得した株主が、その株式を発行した会社の経営支配力を持っている同族株主か、それ以外の株主等かの区分により、それぞれ原則的評価方式(類似業種比準方式、純資産価額方式)又は特例的な評価方式(配当還元方式)により評価する。
*33 平成21年度改正において、中小企業における非上場株式等の相続税額を80%納税猶予する制度が創設され、平成25年度改正ではその適用要件等が見直された。主な適用要件の緩和内容は、次のとおりである。
(1)雇用確保要件の緩和
 改正前の毎年8割以上の雇用維持が、5年間平均で8割以上確保に緩和された。
(2)後継者の親族間承継要件の廃止
経営承継相続人等について、改正前の被相続人の親族である要件が廃止され、親族外の後継者も適用対象とすることとされた。
(3)先代経営者の役員退任要件の緩和
先代経営者は、贈与時に役員でないこととする要件が緩和され、贈与時に代表者を退任すれば、贈与後に引き続き有給役員として残留することが可能とされた。
(4)手続の簡素化
経済産業大臣による事前確認制度が廃止された。
非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例については、図表5 のとおりである。
*34 相続時精算課税制度の非課税枠は2,500万円である。相続時精算課税のしくみについては、図表6 のとおりである。
*35 未成年者の税額控除額は、平成25年度改正において、その未成年者が満20歳になるまでの年数1年につき10万円(改正前6万円)で計算した額に引き上げられた。
*36 平成13年1月1日以後の贈与から、基礎控除額が60万円から110万円に引き上げられた。
*37 平成24年度改正において、相続税の連帯納付義務について、(1)申告期限から5年を経過する日までに納税通知が届かなかった場合、(2)納税義務者が延納又は納税猶予の適用を受けた場合には連帯納付義務が解除されることとなった。

Ⅴ 間接税等
1 消費税*38
(1) 軽減税率の導入による複数税率化は、事業者にとって事務負担が増加するだけでなく、税制の簡素化にも逆行するため、単一税率とすること。
また、インボイス方式*39 の導入を行わないこと。
(2) 課税の公平の観点から、免税点*40 を引き下げること。
(3) 簡易課税制度については、適用基準金額*41 を引き下げること。
(4) 消費税の納税義務、簡易課税制度の適用は、当該課税期間の課税売上高で判定するように改めること。
(5) 消費税課税事業者選択(不適用)届出書及び簡易課税制度選択(不適用)届出書などの提出期限を確定申告期限と同一にすること。
2 酒税、石油関連税等
消費税との二重課税であり、抜本的な見直しを図ること。
3 印紙税
経済取引の変化や複雑化などにより、課税の公平の観点においても問題が生じていることから、廃止すること。

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*38 主要国の付加価値税の概要については、図表7 のとおりである。
*39 インボイス方式とは、課税事業者が物を売る際に、消費税額を記載した納品書を発行し、それがなければ仕入者は消費税の仕入税額控除ができないという制度である。
*40 現行の免税点は、課税売上高1,000万円である。
*41 現行の簡易課税制度における適用基準金額は、5,000万円である。


Ⅵ 地 方 税
1 住民税(道府県民税・市町村民税)
(1) 個人住民税の所得控除額を所得税と同一とし、簡素化を図ること。
(2) 法人市町村民税の均等割の制限税率*42 を廃止し、均等割の税率を統一すること。
(3) 個人が一の道府県内の異なる市町村に住所と事務所等を有する場合、それぞれに道府県民税均等割が課される*43 のは不合理であるから、住所のみに課すこと。
2 固定資産税
(1) 税率を引き下げること。
(2) 中小企業を支援するための軽減措置を講じること。
(3) 固定資産税評価額の算出方法を簡素化するとともに、特に建物については、経年減点補正率*44 を大幅に引き下げるなど実態に即した評価を行い、評価制度の信頼性を高めること。
また、納税者の理解を得るため、税額の算出過程を明示すること。
(4) 既存(中古)住宅を取得した場合にも、新築住宅と同様に減額の特例を適用できるように制度の拡充を図ること。
(5) 償却資産を課税対象から除くこと。
3 事業所税
他の税目との二重課税*45 になるので、廃止すること。
4 不動産取得税
免税点*46 を大幅に引き上げること。

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*42 均等割の標準税率に1.2を乗じて得た税率(制限税率)で均等割を課することができる。なお、法人道府県民税の均等割は、標準税率で統一されている。
*43 法人については、同一道府県内の異なる市町村に事務所等を有する場合であっても、一つの道府県民税均等割が課される。
*44 「経年減点補正率」は20%が限度となっているため、年数が経った古い家屋でも、評価額は「再構築価格」の20%の価格に据え置かれ、固定資産税が課税される。
*45 事業所税は、床面積を課税標準とする資産割については固定資産税及び都市計画税との二重課税になり、従業者給与総額を課税標準とする従業者割については法人事業税の外形標準課税との二重課税になる。
*46 不動産取得税の免税点は、土地の取得については10万円、家屋の取得のうち建築したもの1戸について23万円、その他のもの1戸について12万円である。


Ⅶ その他
1 源泉所得税12月分の納期限については、納期特例分と同様に翌年1月20日とすること。*47
2 法人税、法人の消費税の確定申告書の提出期限及び納付期限を事業年度終了後、3か月以内とすること。
3 所得税の確定申告書の様式を更に簡素化すること。
4 所得税、消費税の準確定申告書の提出期限を相続税の申告書の提出期限*48 と同一にすること。
5 二以上の都道府県又は市町村に事務所等を有する法人の住民税及び事業税は、主たる事務所等の所在地の都道府県又は市町村に一括して申告納付できるように改めること。
6 地方税の申告書及び納付書の様式を全国同一にすること。
7 国税及び地方税の電子申告については、諸手続の簡素化及びシステムの更なる改善を図ること。

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*47 平成24年7月1日以後、給与の支給人員が常時10人未満である源泉徴収義務者が、「源泉所得税の納期の特例に関する申請書」を提出した場合は、7月から12月までの間に支払った給与等及び退職手当等につき徴収した所得税の納期限が翌年1月20日となる。
*48 相続税の申告書の提出期限は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内となっている。一方、準確定申告書(納税者が死亡した場合の確定申告書)の提出期限は、相続の開始を知った日の翌日から4か月を経過した日の前日までとなっている。

特別要望事項

現下の我が国においては、財政再建、震災復興、資源・エネルギー、少子高齢化、労働力不足、国内産業の空洞化、防災・減災インフラ老朽化対策、そして防衛、外交など、多くの問題を抱えている。
政府は、「経済再生なくして財政健全化なし」として、経済成長を重視した「2015骨太方針」を発表したが、歳出抑制が具体的に示されておらず、財政健全化に向けたプロセスが見えてこない。
また、地域経済の再生を促進するため、地方への本社移転を税制面で優遇する「改正地域再生法」が成立したが、人や情報の東京への集中は加速し続けており、日本全体の経済再生のためにも、地方分権への本格的な取組みが不可欠である。
税収を自然増させるための経済政策、無駄な財政支出の削減、消費税を目的税化した社会保障関連経費、少子化を見込んだ将来対策等、具体的な施策を示した上で、中長期的な展望に立脚し、努力した人が報われる社会の形成に寄与する、国家・国民のための税制を早期に構築することを要望する。

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